2011年9月27日火曜日

記憶に残す〝無名〟のレース。

それは、9月25日日曜日の普段の練習会のことだった。

クラブ主催のレースも無事終わり、残るは11月の茅ケ崎のクラブ
主催のレースを最後に今シーズンのレースとしては終了するという
ちょうど合間の練習会だった。

この日のクルー分けとしてはジュニアから僕たちシニアまでまんべ
んなくシャッフルされた5艇になったが、参加人数の都合で5人クル
ーの艇が2艇できた。

僕たちの艇は、1番ストローカ―にコナレースにも参加し、先日のクラ
ブレースではMen'sマスターズAチームクルーの甘糟さん、2番にシニア
マスターズの僕、3番(往き)にWomen'sマスターズでこの春からメンバ
ーになったAsakoさん、4番(帰り3番)に何回か体験会でお目にかかる
Hukudaさん(男性)、5番に東海大生で最近メンバーになったばかりの
Seiyaさん(女子)、ステアにはこれからモロカイのTeam JAPANに参加す
るShunという初めての構成になった。

練習コースは、江ノ島から稲村ケ崎の往復になり、往きはタイミング合
わせやひとり漕ぎを交えた基本練習で稲村ケ崎まで。
小休止を入れて帰りは5艇で江ノ島東浜までレースということになった。

5人の艇もあるので果たしてどういうことになるのか、ということもありレ
ースを意識するより往きでやった基本動作に集中することにした。
僕はテンションが上がるとどうもストロークのキャッチのタイミングが早く
なる癖があるので1番に最大限合わせていた。

甘糟さんのストロークはメトロノームのように正確で安定していた。いつ
ものシニアメンバーのピッチは1分間に54から早くて56くらいだが、この
日はもしかすると58くらいになっていたように思えるたが、とてもスムー
ズに漕げていた。

後ろからステアのShunが押してくるのを感じ取り、その都度1、2番が自然
に呼応して前を引っ張り艇が海面を滑っている快感を何度も味わうことが
できた。

定かではないが七里ヶ浜くらいまでは半艇身から1艇身くらい前に出てトッ
プでいた。それが定かではないほどパドルに集中できていたのかも知れ
ない。

七里ヶ浜を過ぎると、後ろの艇が僕たちを抜きにかかった。その艇は1番
Gohda(香港レース他歴戦の勇士)、2番Mossan(Women'sマスターズの中心
メンバー)、3番Yutakaさん(僕と同じシニアでクラブ発足メンバーのひとりで
歴戦の持ち主)、4番Hicky(コナレースから帰ってきた30代パドラー)、5番
には体験の若い男性、ステアにManato(マネージャー)という強豪だった。

それが分かって僕は急にレースのスィッチが入った。
しかし、いつもならここでピッチが速くなってタイミングが微妙に狂うのだ
が、冷静な1番の変わらぬピッチに合わせることができた。

鎌高前あたりまでは何度か相手が1/3艇身ほど頭を出してきて、「ワン
サイド、パワー!」と力を入れるパドルの指令が聴こえたが、それ以上
差が開かないでついて行けた。
僕たちの艇は鎌高前から小動まで潮の向きと、折からの北向き風をか
わしながら実にスムーズに滑って、相手とほぼ互角に沿って行っていた。

しかし、小動から東浜の湾内に入るや、我が艇はまともにアップウィンド
をうけ、相手艇にググっと前出られてしまい、スーッと1艇身ほど差がつい
た。
ここでも冷静にリズムを刻む1番に合わせ、後ろから強力に押してくる力
を感じながらタイミングだけに注力し、引っ張っている滑り感じることがで
きた。
まだまだイケるかも…。

湾に入ってしばらくすると、相手艇も風をもともにうけたかスピードがダウ
ンしている。
そこで「パワー!」の指示が出たのでここぞと1番に合わせて引っ張った。
みるみる差が縮まり、相手のテールにこちらのノーズが接触するほどに
なった。

Dead Heat!!

その時、ステアのShunは風を読んだか、相手の左サイドに艇を交わした。
すると、相手艇はまだまともに正面から風を受けているようでスピードが
上がらない。
こちらは恐らくShunも必死で漕いでいる空気が伝わり、より以上にアウン
の呼吸で満身の残る力で引っ張った。
僕たちの艇は多少左に交わしたため風を艇の後ろサイドに受けたのか、
その風に押されるようにして、相手艇をかわし始め向かい風にもメゲずに
ピッチも上げ、全員に一気にパワーが入った。
みるみるこちらが前に出て1艇身以上の差をつけて Goal!

大袈裟ではなく、こんな爽快なパドルは実に初めてだった。

アウトリガーカヌーは実に繊細で、状況判断とクルーの気が一致する一瞬
のタイミングでこのように変わる、ということを草レースではあったが貴重
な経験を得ることが出来た。

基本に忠実に、そして極力無心に、冷静に通せるかということなのだろう。

4 件のコメント:

  1. 3番:シニアです・・・非常に悔しいRACEでした!!が、何時になく燃えました!!「悔しいぃ~~~~!!!」

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  2. ホントに何で抜けたんだろうと思うくらいイメージそのまま行けたんですから(笑)。ビックリでした!
    シャッフル・レース、それも力を拮抗させた編成のレースって大事ですね。その結果をステア中心に話合うことも大事だと思いました。

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  3. 4番:コナ帰り野郎です…臨場感あふれる文章、おもしろい!悔しさまで思い出しました…貴艇がスッ消えたと思ったら左から追いつかれてびっくり!それから当艇は漕いでも鯉でも恋でも思うように進みませんでした.ああいうレースも面白いですよね.

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  4. Manato艇にはメンツからいって勝てないと思いましたが、小動付近から ん?ん~ん?イケるかも…、と思え俄然燃えました。しかし一昨日あたりから知恵熱です(笑)…風邪引きです。

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