建築家 坂茂氏は僕よりちょうど10歳若い。
今や国際的な建築家として押しも押されもしない存在だ。
氏とは、1990年に小田原市制50周年を記念して開催された
「小田原ときめき夢まつり」のメイン会場パビリオンの設計・施工
でご一緒させて頂いた。
このパビリオン(ホール)は、当初は紙管、まさにいわば厚紙の筒を
構造体にして建築しようと考えていたが、許認可の問題や安全性の
経験値等がないため、主たる構造は鉄骨にせざるを得なかった。
しかし、氏はギリギリまで諦めずに、あの当時確かW大学の建築科
に構造計算を依頼し、数字的にはイケると確信を得てはいた。
ちょうどカナディアン・ログハウスが丸太を横組みに組むが、この
設計はその逆で、丸い紙管を立てに使う。
そのため、壁を曲線にも自由にでき、Rの曲面がとれるの。
氏はそれまでの、いくつかの経験を踏まえた上で、新たな実験的
な試みをこの仮設施設で行う構想であった。
紙管と紙管の間に、ビニールのチューブを挟み込み、そこからスリ
ット状の明かりを取るとか、1200πの紙管でそのままトイレを作る
(水琴窟のように自分の落としたモノの音を楽しむ?)とか、楽しい、
しかもエキサイティングな試みがいくつもあった。
彼は信念の人なのだろう。
だから、災害や難民たちのために必要とあらば、矢も楯もいらず、
飛んで行き、自分のできる建築を駆使して、彼らに明かりを灯す。
なかなかできることではない。
事実このような建築家を僕は知らない。
いまは遥かに遠い存在になったが、一瞬でも氏と接点を得たこと
を、今は大変に誇りに思っている。
真のクリエイタ―は凄い!
2010年5月12日水曜日
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