2010年5月12日水曜日

坂 茂氏設計のポンピドー・センター・メス、オープン

建築家 坂茂氏は僕よりちょうど10歳若い。
今や国際的な建築家として押しも押されもしない存在だ。


氏とは、1990年に小田原市制50周年を記念して開催された
「小田原ときめき夢まつり」のメイン会場パビリオンの設計・施工
でご一緒させて頂いた。


このパビリオン(ホール)は、当初は紙管、まさにいわば厚紙の筒を
構造体にして建築しようと考えていたが、許認可の問題や安全性の
経験値等がないため、主たる構造は鉄骨にせざるを得なかった。
しかし、氏はギリギリまで諦めずに、あの当時確かW大学の建築科
に構造計算を依頼し、数字的にはイケると確信を得てはいた。

ちょうどカナディアン・ログハウスが丸太を横組みに組むが、この
設計はその逆で、丸い紙管を立てに使う。
そのため、壁を曲線にも自由にでき、Rの曲面がとれるの。

氏はそれまでの、いくつかの経験を踏まえた上で、新たな実験的
な試みをこの仮設施設で行う構想であった。

紙管と紙管の間に、ビニールのチューブを挟み込み、そこからスリ
ット状の明かりを取るとか、1200πの紙管でそのままトイレを作る
(水琴窟のように自分の落としたモノの音を楽しむ?)とか、楽しい、
しかもエキサイティングな試みがいくつもあった。

彼は信念の人なのだろう。
だから、災害や難民たちのために必要とあらば、矢も楯もいらず、
飛んで行き、自分のできる建築を駆使して、彼らに明かりを灯す。

なかなかできることではない。
事実このような建築家を僕は知らない。

いまは遥かに遠い存在になったが、一瞬でも氏と接点を得たこと
を、今は大変に誇りに思っている。

真のクリエイタ―は凄い!

SHIGERU BAN

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