2010年5月19日水曜日

国立新美術館・ルーシー・リー展に。

恥ずかしながら、今ごろ初めて国立新美術館へ、


「ルーシー・リー展」を小雨のなか、観に行ってきた。






ルーシー・リーは、とても好きな陶芸家のひとりである。
家内はなんと、2002年に松山市の三浦美術館(ミウラート・ヴィレッジ)
で開催された、「生誕100年記念展」まで追っかけ、2005年の東京
、ニューオータニ美術館へ。
僕は同じ東京に引き続き、2006年の静岡市で展覧会に。

そして、今回だ。




リーの言葉に、
「私は陶芸家(a potter)である。ほかに何ができるだろう。」
「…一般の人たちにとって陶器の形態やデザインはあまり変化の
ないものだ。

しかし陶器を愛する人にとっては尽きることのない感動である。
それは衝撃的なものではなく、ただ静謐で偉大だ。」

「誰かが私はモダンな陶芸家か、伝統的な陶芸家かと聞いたと
しても、私はわからないし、関心ももない、と答えるだろう。
今生きている芸術は常に現代的である。年をとっているか若いか
は関係ない。芸術論は私には無意味だ。美こそ大事である。
それが私の哲学のすべてである。…
私は充分でないという自覚のようなものが私を突き動かしている。」


大戦時にウィーンから逃れ、英国に渡った時は、まだほとんど無名で、
リーの作品は、当時英国陶芸界に君臨していたバーナード・リーチ
ら東洋主義派からモダンデザインと位置づけられ、批判されていた。
リーチとは、哲学や作風を越えて親交厚くなった。


生活のためのボタンづくり


僕にとっては、そんなことはどうでもよく、リーチの東洋的な文様スタ
イルも好きだし、リーのモダンさも心地がよい。

近代陶芸は所詮、東から西へ、いわゆるセラミック・ロードを形成し通過
してヨーロッパに当然影響を与え、その中で陶芸家は葛藤しながら自己
を確立していったのだろう。

リーチは二度に渡る来日で、柳宗悦や濱田庄司、河合寛次郎、宮本
憲吉らの錚々たる陶芸運動家との親交を深くして、互いに影響しあい、
自らの作風をも固めて
行ったのだろうし、

リーはまずろくろに魅せられ陶芸の道に入いり、英国に渡りハンス・コパー
という20歳以上も歳の違う創作のパートナーと出会い、13年間もそれこそ助
け合いながら、自らの確信に向かっていったのだろう。



今回で3回目の機会であったが、やはり新鮮に感じるのは、そのモダン
さが、今でさえ古くないからなのだと思う。
しかし、それもそうか。まだ亡くなって15年だもの。



出展中で、僕の好きな鉢だけでも…





















と、釉薬による色のバリエーションや溶岩を使った作品、
また縦・横のライン文様の作品…と
あるが、
やはり一番印象的な作品は
図録の表紙にもなっている

1979年の
白釉青線文鉢

だ。






先月末に行った日本画の「小野竹喬」展でも同じく感じたことだが、ジャンルこそ
違え、リーも晩年の作品にはより無駄がなく、すっきりと研ぎ澄まされ、清廉さを
感じる。



そして、6月26日からは、リーと創作活動を13年間共にした、
ハンス・コパー展 が汐留ミュージアムで開催される。
またまた、楽しみ!

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